子どもにサンタを信じてもらう方法|サンタ役が教える、子どもが見ている5つのポイントと家庭でできる演出

手紙を書くサンタクロースの姿
サンタ便

「サンタさんって、本当にいるの?」

この質問を、どの家庭も一度は受けます。たいていは小学2年生から4年生のあいだ、ある日とつぜんです。答え方をまちがえると、子どもの中で何かが終わってしまう気がして、親はその場で言葉につまります。

わたしは兵庫県で、サンタクロースとして家庭や園を訪問する仕事をしています。ひげの付け方、歩き方、声の出し方、子どもからの質問への答え方。子どもが「本物だ」と思うために何が必要かを、ずっと考えてきました。その立場から、この記事では3つのことをお伝えします。子どもは何歳まで信じるのか、子どもはサンタの「どこ」を見て本物かどうかを決めているのか、そして家庭で何ができるのかです。

ネットの記事は、足跡を作る、クッキーを置くといった「仕掛け」の話が中心です。ここでは仕掛けの前に、子どもの頭の中で何が起きているかから始めます。順番が逆だと、仕掛けは効きません。

子どもは何歳までサンタを信じているのか

まず、数字を見ておきます。日本と海外で、ほぼ同じ結果が出ています。

年齢サンタを信じている子どもの割合
7歳85%
10歳47%
12歳22%

出典:いこーよ「サンタクロースに関する調査」(2017年、保護者704人)

三重大学教育学部の富田昌平教授(子どもの想像力の発達が専門)によると、未就学児から小学1年生まではほぼ全員が信じていて、小学3年生で約4割が「いないと思う」、3割が半信半疑、残りの3割が信じている状態になります。アメリカのテキサス大学ダラス校とイギリスのエクセター大学の調査でも、信じなくなる平均年齢は8歳でした。

つまり、分かれ目は小学3〜4年生、8歳から10歳です。この時期の子どもは、「一晩で世界中にプレゼントを配れるはずがない」といった、理屈で考える力が育ちます。だから、小さい子に効いた仕掛けが急に効かなくなります。

では、気づくきっかけは何でしょうか。母親875人への調査では、次の順でした。

  • 成長とともに自然に気づいた:34.6%
  • 友達から言われた:20.0%
  • 隠してあるプレゼントを見つけた:13.9%

出典:fotowa家族フォト総研(2021年)

注目したいのは、「友達から言われた」と「プレゼントを見つけた」を合わせると3人に1人になることです。この2つは、家庭の工夫で先延ばしにできます。

子どもはサンタの「どこ」を見ているか:5つのポイント

ここからが、サンタ役としてお伝えしたいことです。子どもは、大人が思うよりずっとよく見ています。富田教授の観察では、4歳児は「プレゼントをくれる人」としてサンタを受け入れますが、5歳児はもう「本物か偽物か」を確かめようとして、後ろに回り込んで見るそうです。

子どもが見ているのは、次の5か所です。上から順に、見抜かれやすい順です。

1. ひげ

いちばん最初に見られます。ひげが浮いている、口の動きとずれている、色がまっ白すぎる。この3つのどれかがあると、5歳の子でも気づきます。わたしがひげに時間をかけるのは、ここが最初の関門だからです。

2. 体格

子どもの頭の中のサンタは、大きくて、おなかが丸い。細いサンタは、その時点で「おじさんが着ているだけ」になります。衣装の下に着込んで体の形を作るのは、見た目のためだけではなく、子どもが抱きついたときの手ざわりのためでもあります。

3. 声と話し方

声が若い、早口、知っている人の声に似ている。これも見抜かれます。本物のサンタは、ゆっくり話します。急がないことが、「遠くから来た人」の空気をつくります。

4. 自分の名前を知っているか

ここから先は、見た目ではなく「中身」です。サンタが自分の名前を呼んだ瞬間、子どもの表情は変わります。逆に、名前を知らないサンタは、どんなに見た目が良くても「イベントの人」として見られます。

5. 自分のことを知っているか

決め手はここです。「ピーマン、がんばって食べてるんだってね」「妹に優しくしてくれて、ありがとう」。親しか知らないはずのことをサンタが知っていると、子どもは「本物だ」と確信します。理屈で考え始めた小学3年生にも、ここだけは効きます。なぜなら、理屈では説明がつかないからです。

サンタ役が知っている、いちばん大事なこと

見た目は「疑われない」ためのもの、中身は「信じる」ためのものです。順番でいえば、見た目で入り口を通り、中身で本物になります。家庭での演出も、この順番で考えると効き方が変わります。

家庭でできる演出 7つ(効く順)

サンタ役の視点で、効く順に並べました。上の3つは、お金も道具もいりません。

  1. サンタが「その子のこと」を知っている形にするプレゼントに添える手紙に、親しか知らないことを1つ書きます。「さかあがり、できるようになったね」のような、今年その子ががんばったことです。これが、上の「5つのポイント」の5番目にあたります。筆跡は、親の字と変えます。利き手と逆の手で書くか、印刷します。
  2. サンタに手紙を書かせて、返事を用意する子どもが書いた手紙に、サンタからの返事が届く。子どもにとって、これ以上の「証拠」はありません。返事の中で、手紙の内容にひとこと触れると、「読んでくれた」ことが伝わります。
  3. 親が「本気で楽しみにしている」姿を見せる子どもは、親の態度を見ています。親が「サンタさん、今年は何を持ってきてくれるかなあ」と本気で楽しみにしていると、疑う理由がなくなります。富田教授は、家庭でワクワクを共有すること自体が、子どもの心の成長につながると言っています。
  4. サンタが来た「跡」を残すクッキーのかけら、飲みかけのミルク、玄関先の小さな足跡。これは定番ですが、やりすぎると「仕掛け」が見えます。1つか2つで十分です。
  5. 「サンタは一人じゃない」設定を用意しておく街にサンタがたくさんいることに気づいた子には、「本物のサンタは一人で、あとは手伝いの人たち」と説明できるようにしておきます。保育士のてぃ先生も、「サンタさんはいっぱいいる」と伝える方法をすすめています。
  6. プレゼントの購入と保管を、子どもの目から完全に切り離す気づくきっかけの3番目が「隠してあったプレゼントを見つけた」でした。注文は子どもが見ない端末で、受け取りは職場やコンビニで、保管は車のトランクや普段開けない収納に。包装紙やレシートは、その日のうちに処分します。
  7. 本物のサンタに会わせるすべての演出の中で、いちばん強いのがこれです。ただし、見た目が本物でないサンタに会わせると、逆効果になります。ひげ、体格、声、そしてその子の名前と話を知っているか。上の5つのポイントで確かめてから選んでください。料金の目安と選び方は、出張サンタの料金相場にまとめています。

親がやりがちな失敗 5つ

実際にあった「バレた」話を集めると、失敗の形はだいたい決まっています。

  • 日記や注文履歴を見られた「プレゼントの注文が間に合った」と書いた親の日記を、娘が読んでしまった例があります。スマホの通知や、家族で共有している端末の履歴も同じです。
  • 包装紙や伝票が「お店のもの」だった「これ、〇〇スーパーの袋だ」。子どもは包装紙の柄をよく覚えています。包み直すか、サンタ専用の包装紙を決めておきます。
  • サンタが二人、同じ日に来たピザ屋さんのサンタと、お父さんのサンタが同じ夜に重なって、子どもが号泣した例があります。その後「あれはお父さんだった」と気づかれました。演出は、1つの筋に絞ります。
  • つい、買い物の話をしてしまった「ピンクしかなかったの」。いつもの買い物と同じ調子で答えてしまい、子どもが「サンタさんが買ったの?」と気づいた例です。プレゼントの話は、サンタの話として最後まで通します。
  • 運ぶ途中で物音を立てたプレゼントを枕元に運ぶ途中で子どもが目を覚ます。これはどの家庭でも起こります。深夜に運ぶなら、ドアの音、床のきしみ、そして自分の咳やくしゃみにも気をつけます。

「本当にいるの?」と聞かれたときの答え方

この質問には、専門家の答えがそろっています。三重大学の富田教授、保育士のてぃ先生、教育研究家の親野智可等さん、心理学者の内藤誼人さん。言い方は違いますが、方針は1つです。

親が答えを決めない。子どもに聞き返す。

「あなたはどう思う?」「なんで、いないと思ったの?」と聞き返します。子どもが「いると思う」と言えば、「お父さんも、いるんじゃないかと思うけどなあ」と寄り添います。子どもが「いないと思う」と言えば、その理由を聞きます。親が「実はいないんだ」と白状することだけは、しません。

なぜ白状してはいけないのか。富田教授は、半信半疑の子どもが「信じようとしている」気持ちを、親の白状が踏みにじってしまうからだと説明しています。子どもが自分で考えて、自分で答えにたどり着く。その過程そのものが、心の成長だということです。

聞き返したあとの流れを、年齢別にまとめます。

年齢子どもの状態親の対応
〜小1ほぼ全員が信じている質問は少ない。来たら「来るのが楽しみだね」で十分
小2自分の体験で信じている「サンタさんの格好をした手伝いの人もいるんだよ」と、矛盾を先回りして説明
小3〜4理屈で考え始める。4割が疑う「あなたはどう思う?」と聞き返す。説明の矛盾を突かれたら「サンタさんにしかできないことがあるんだよ」ととぼける
小5〜多くは気づいている気づいていると分かったら、「じゃあ今年から、妹のサンタさんを一緒にやろう」と役を渡す

信じなくなる日のこと

ここまで読んで、「そこまでして信じさせて、知ったときにショックを受けないだろうか」と思った方もいるかもしれません。研究の結果は、少し意外です。

テキサス大学ダラス校のミルズ教授の調査では、真実を知ったときに悲しさや失望を感じた子どもは約3分の1でした。ただし、その気持ちが数週間以上続いた人は3分の1より少なく、親への信頼が損なわれることもほとんどありませんでした。

さらに、1994年のアメリカの研究(アンダーソンとプレンティス)では、親が熱心にサンタの演出をした家庭の子どものほうが、真実を知ったときの動揺が少なかったという結果が出ています。「やりすぎると傷つく」という通説は、研究では逆でした。たくさん楽しんだ子どもほど、「楽しませてくれていたんだ」と受け取れるからです。

信じなくなる日は、必ず来ます。そのとき子どもに残るのは、「だまされていた」という気持ちではなく、「大人たちが、自分のためにここまでしてくれていた」という記憶です。そのために、演出は中途半端にしないほうがいい。わたしがサンタ役として準備に時間をかけるのも、同じ理由です。

信じなくなった子には、「これからは一緒に、妹のサンタさんになろう」と役を渡した家庭があります。子どもはその日から、「信じる側」から「信じさせる側」に回ります。これがいちばん美しい終わり方だと、わたしは思っています。

全国どこからでも:サンタからの手紙と動画

この記事で「いちばん効く」と書いた演出は、サンタがその子のことを知っている手紙でした。わたしが運営している「サンタ便」では、保護者の方から「今年がんばったこと」「サンタに伝えてほしいこと」を伺って、その子だけの手紙を書いてお送りしています。定型文ではなく、1通ずつ書きます。サンタの姿で語りかける動画もあります。手紙は郵送、動画は配信なので、兵庫県以外のご家庭でもお申し込みいただけます。

ご自分で書く場合の文例は、サンタからの手紙の例文18選にまとめました。

くわしくはサンタからの手紙・動画のご案内をご覧ください。兵庫県内で、サンタ本人の訪問をお考えの方はおうち訪問のご案内へどうぞ。

今年のクリスマスに、「本物だった」の証拠を。

手紙と動画は全国へ。サンタ本人の訪問は兵庫県全域へ。

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よくある質問

子どもにサンタを信じてもらうために、いちばん効くことは何ですか?

サンタが「その子のこと」を知っている形にすることです。プレゼントに添える手紙に、親しか知らないがんばりを1つ書くだけで、子どもは「本物だ」と感じます。足跡やクッキーの仕掛けより先に、ここを押さえてください。

サンタは何歳まで信じていますか?

7歳では85%、10歳で47%、12歳で22%が信じているという調査があります。分かれ目は小学3〜4年生(8〜10歳)で、このころから理屈で考える力が育ち、疑い始める子が増えます。

「本当にいるの?」と聞かれたら、どう答えればいいですか?

「あなたはどう思う?」と聞き返してください。子どもが「いると思う」と言えば寄り添い、「いないと思う」と言えば理由を聞きます。親から「実はいない」と白状することだけは避けます。子どもが自分で答えにたどり着く過程が、心の成長につながるからです。

演出をやりすぎると、知ったときにショックが大きくなりませんか?

研究では逆の結果が出ています。親が熱心に演出した家庭の子どものほうが、真実を知ったときの動揺が少なかったという報告があります。たくさん楽しんだ子ほど、「自分のためにしてくれていた」と受け取れるためです。

子どもがサンタのどこを見て、本物かどうか判断していますか?

ひげ、体格、声の順に見ています。そのうえで、自分の名前を知っているか、自分のことを知っているかで「本物」かどうかを決めます。見た目は疑われないため、中身は信じるためのものです。

友達から「サンタはいない」と言われて帰ってきました。どうすれば?

「〇〇くんはそう思ってるんだね。あなたはどう思う?」と聞き返します。そのうえで、「サンタさんを信じている子のところには来るんだよ」と伝える家庭が多いです。否定も肯定もせず、子どもの気持ちを聞くことが先です。

ここにない質問は出張サンタのよくあるご質問にまとめています。

参考にした調査・研究

  • いこーよ「サンタクロースに関する調査」(2017年、保護者704人)
  • fotowa家族フォト総研「クリスマスに関する調査」(2021年、母親875人)
  • 富田昌平(三重大学教育学部教授)監修記事、学研こそだてまっぷ
  • Candice Mills(テキサス大学ダラス校)による調査、2023年
  • Exeter Santa Survey(エクセター大学、回答1,200件以上)
  • Anderson, C. J., & Prentice, N. M. (1994). Encounter with reality: children’s reactions on discovering the Santa Claus myth. Child Psychiatry and Human Development, 25(2).
ABOUT ME
野村佳史
野村佳史
プロのサンタクロース
姫路でサンタをしている、野村佳史です。子どもの頃、温かくて優しいサンタクロースが大好きでした。あのとき私がもらったものを、あのサンタに返すことはできません。だから、いまの子どもたちに渡したいと思っています。名前を呼ぶ。頑張っていることを知っている。帰ったあとに手紙が残る。それだけで、子どもにとってサンタは「本当に来た人」になります。衣装も、ひげも、歩き方も、声も。子どもの目はごまかせません。本物のサンタクロースを目指しています。
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